<前回続き>
そして私が丁度池のあたりに差し掛かった時、目の前の街灯に照らされた足元の茂みの中から、見たことのない生き物が姿を現したのです!
とっさに私は「猫かな?」と思いました。
そう、それは猫程の大きさの生き物だったのです。
しかし、よく見ると背中が人間の皮膚のような「肌色」。
そしてその他は顔も脚も「スライム」のような「緑色」をした生き物なのです。
私は子供の頃「生物学者」になりたいと思ったことがあるほどで、かなり生き物には詳しいつもりでしたが、目の前に現れた「ソレ」に符合する生物が思い浮かびません。あえて言うなら「四脚で歩くウミウシのような皮膚の猿」って感じでしょうか。
あっけにとられて暴風の中立ち尽くす私の目の前を、その動物はジャブジャブジャブと音を立てて横切っていきました。
「あ!捕まえなくては」
その生き物が遊歩道反対側の植え込みの中に入りかけた時、我に返った私は手に持っていた傘を振り回し追いかけました。
しかし数メートル先も見えないような暴雨と殴りつけるような風、そして深い夜の闇の中で、あっという間にその生き物の足音も姿もかき消えてしまったのです。
ずぶ濡れになったまま暫く私は、辺りをうろうろしていました。
しかし、急に「今のは、ナンダッタノカ?」と云う疑問と恐怖が襲い、走るようにして自宅へ逃げ帰ったのです。
翌日、台風一過晴れ渡った空の下、事務所へ向かいながら前日「不思議な生き物」に出会った場所をよく観察してみました。が、風で折れた枝や、引きちぎられて道一面に張り付いている木の葉があるばかりで特別変わった物は見あたりませんでした。
今考えてみてもいったいあの生き物はなんだったのか、はっきりは判りません。
「雨に濡れた猫」だったのでしょうか?
「特別大きなウシガエル」だったのでしょうか?
「カワウソ」「ヌートリア」「逃げ出したアリクイ」「びしょ濡れのキジ」。
どれもしっくり来るものがありません。
ただ、もしかすると、あれが、俗に伝わっている「カッパ」だったのではないか。今では少しそう思っています。姿かたちはすぐに「カッパだ」と断定できるようなものではありませんでしたが。
この話はそれから、ずいぶん沢山の人に話しました。しかし仕方がないことですが、なかなか素直に信じてくれる方はいらっしゃいませんでした。
そして私自身もこの数年後、もっと恐ろしく、もっと信じがたいある事件に巻き込まれる事になるとは、つゆとも思っていなかったのです。
<河童の巻・終わり>(いつの間にか「巻」になってる)
追)この話を今書き終わり、どこかにリンクさせようかと「怪異・妖怪伝承データベース」を見てみたらこんなページに行き当たりました。
「猫と河童とカワウソと」
他のページも面白いです。
そして私が丁度池のあたりに差し掛かった時、目の前の街灯に照らされた足元の茂みの中から、見たことのない生き物が姿を現したのです!
とっさに私は「猫かな?」と思いました。
そう、それは猫程の大きさの生き物だったのです。
しかし、よく見ると背中が人間の皮膚のような「肌色」。
そしてその他は顔も脚も「スライム」のような「緑色」をした生き物なのです。
私は子供の頃「生物学者」になりたいと思ったことがあるほどで、かなり生き物には詳しいつもりでしたが、目の前に現れた「ソレ」に符合する生物が思い浮かびません。あえて言うなら「四脚で歩くウミウシのような皮膚の猿」って感じでしょうか。
あっけにとられて暴風の中立ち尽くす私の目の前を、その動物はジャブジャブジャブと音を立てて横切っていきました。
「あ!捕まえなくては」
その生き物が遊歩道反対側の植え込みの中に入りかけた時、我に返った私は手に持っていた傘を振り回し追いかけました。
しかし数メートル先も見えないような暴雨と殴りつけるような風、そして深い夜の闇の中で、あっという間にその生き物の足音も姿もかき消えてしまったのです。
ずぶ濡れになったまま暫く私は、辺りをうろうろしていました。
しかし、急に「今のは、ナンダッタノカ?」と云う疑問と恐怖が襲い、走るようにして自宅へ逃げ帰ったのです。
翌日、台風一過晴れ渡った空の下、事務所へ向かいながら前日「不思議な生き物」に出会った場所をよく観察してみました。が、風で折れた枝や、引きちぎられて道一面に張り付いている木の葉があるばかりで特別変わった物は見あたりませんでした。
今考えてみてもいったいあの生き物はなんだったのか、はっきりは判りません。
「雨に濡れた猫」だったのでしょうか?
「特別大きなウシガエル」だったのでしょうか?
「カワウソ」「ヌートリア」「逃げ出したアリクイ」「びしょ濡れのキジ」。
どれもしっくり来るものがありません。
ただ、もしかすると、あれが、俗に伝わっている「カッパ」だったのではないか。今では少しそう思っています。姿かたちはすぐに「カッパだ」と断定できるようなものではありませんでしたが。
この話はそれから、ずいぶん沢山の人に話しました。しかし仕方がないことですが、なかなか素直に信じてくれる方はいらっしゃいませんでした。
そして私自身もこの数年後、もっと恐ろしく、もっと信じがたいある事件に巻き込まれる事になるとは、つゆとも思っていなかったのです。
<河童の巻・終わり>(いつの間にか「巻」になってる)
追)この話を今書き終わり、どこかにリンクさせようかと「怪異・妖怪伝承データベース」を見てみたらこんなページに行き当たりました。
「猫と河童とカワウソと」
他のページも面白いです。